中日新聞(朝刊) 2018/10/10
精神医療題材 あす公演
浜松 伊の劇団関係者らPR
イタリアの精神障害者らでつくるNPO劇団アルテ・エ・サルーテの公演「マラー/サド」が十一日午後五時半から、浜松市中区のクリエート浜松で開かれる。同国ボローニャ市の評議員マルコ・ロンパルド市長代理や劇団関係者が九日、浜松市役所で長田繁盛副市長にPRした。フランスの精神科病院を舞台にした劇中劇。精神疾患の患者役を精神障害のある俳優が演じ、「人間としての自由」を表現する。イタリアは大半の精神科病院を廃止し、地域で見守る改革を進め、各国から注目されている。ロンバルド市長代理は「ボローニャも浜松も音楽都市で、共通点も多い。プロや若者の音楽交流 を展開したい」と語った。浜松での開催は、両市が音楽文化交流に関する覚書を締結したことなどから実現した。
公演の意義などを語るマルコ・ロンバルド市長代理㊨=浜松市役所で
中日新聞 2018/10/10 -2
精神保健分野で交流を
伊・ボローニャ市幹部が提案
市側関係者と懇談するロンバルド評議員(右端)=市役所で
イタリア中部ボローニャ市の幹部らが九日、名古屋市役所と県庁に河村たかし市長と大村秀章知事を相次いで訪ね、精神保健分野での都市間交流を提案した。イタリアは一九七六年に成立した精神保健法によって精神科病院が全廃され、地域内ケアが主流になっている。同法制定四十周年の記念事業としてボローニャ在住の精神障害者による劇団「アルテ・エ・サルーテ(芸術と健康)」が来日し、八日に県精神医療センター(千種区)で講演会を開いたことを受け、同市のマルコ・ロンバルド評議員らが両首長を表敬訪問した。
名古屋市役所で、ロンバルド氏は三百人近い聴衆を集めた講演会の成功を報告し、ボローニャ市が県や名古屋市と精神保健や芸術文化分野での連携協定を締結する準備があることを口頭で伝えた。河村市長も英語を交えながら、提携構想を検討する考えを示した。劇団はボローニャ市精神保健当局と交流を続けるNPO法人「東京ソテリア」(東京)の招きで来日し、十一、十三日に浜松市と東京都千代田区で無料公演を行う。名古屋での講演会開催は同法人の共同事業体「マザーズ」(西区)が仲介した。
静岡新聞 2018/10/10
伊・ボローニャの劇団 初来日
中区 あす無料公演へ意気込み
さらなる交流の拡大を求めるロンバルド評議員(右端)ら=浜松市役所
11日に浜松市中区で公演するイタリア・ボローニャ市の劇団「アルテ・エ・サルーテ」と同市市長代理のマルコ・ロンバルド評費らが9日、浜松市役所を訪れ、長田繁喜副市長に公演の意気込みなどを語った。
同劇団は精神疾患の患者らが所属し、舞台や人形劇上演、ラジオ番組制作などを展開している。精神科病院を廃止し、地域でのケアを定めた同国のバザーリア法制定40周年を記念し、世界精神保健デー普及事業として初来日した。都内に加え、音楽文化交流に関する覚書を結んでいる浜松市でも上演することになった。
ロンバルド評議員は「浜松との交流をさらに拡大させ、何ができるか考えたい」と述べた。長田副市長は「先進的な精神医療の取り組みを参考にしたい。今後も交流を深めたい」と話した。中区のクリエート浜松1階で11日午後6時15分から、上演する作品「マラー/サド」は、 精神病院に入院したサド侯爵が患者たちと、 フランスの革命指導者マラーのドラマを描く劇中劇で、精神障害を持つ俳優が人間の自由を表現する。予約不要で入場無料。劇団員や精神保健局職員らは11 日までの滞在期間中、浜松市内の診療施設の視察や患者らと交流する。
静岡新聞 2018/10/12
伊・ボローニャ市 患者劇団が公演
中区 自由や平等表現
迫力ある演技を繰り広げるアルテ・エ・サルーテの俳優たち=浜松市中区のクリエート浜松
精神疾患の患者たちが所属するイタリア・ ボローニャ市の劇団 「アルテ・エ・サルーテ」の公演「マラー/サド」が11日、浜松市中区のクリエート浜松で開かれた。約15人の俳優陣が迫力ある演技で観客を魅了した。
演目はフランスの精神病院を舞台に入院しているサド侯爵と患者たちが、フランスの革命指導者マラーの迫害と暗殺を描く劇中劇。実際に社会からの疎外などを感じた経験を持つ精神障害のある出演者が、時にユーモラスに、人間の自由や平等を訴える劇を全力で演じる患者らを熱演した。同公演は精神病院を廃止し、地域でのケアを定めたイタリアのバザーリア法制定40周年を記念し、世界精神保健デー普及啓発事業としてNPO法人東京ソテリアが開催した。
朝日新聞 2018/10/11
精神障害者らプロ劇団、来日
自由な感性と葛藤 舞台で表現
舞台で稽古する劇団「アルテ・エ・サルーテ」=ボローニャ
精神科病院を廃止したイタリアで、精神障害者が役者を務めるプロの劇団が来日し、11、13日に公演する。役者たちは、精神障害と向き合いながら、地域社会で暮らす中で感じてきた自由な感性と葛藤を、舞台での表現にぶつけている。
イタリアでは40年前、精神科の患者は自分の意思で一医療を選ぶ権利があると規定した「バザーリア法」が施行され、入院による治療から、通院と地域での生活・就労支援に移行した。
この劇団は「アルテ・エ・サルーテ」。北部ボローニャ地域の精神障害者らが集まり、2000年に設立した。地元の公立劇場を拠点に、国内外で公演を重ねてきた。役者のほとんどは精神障害者で、医療機関に通いながら劇団と労働契約を結び、地域で自立して生活。今回は、精神科病院に入院させられたフランス革命期の貴族が、ほかの入院患者とともに、フランス革命指導者の死を通じて、自由を求める戦いを描いた劇中劇「マラー/サド」を上演する。
出演するルーチョ・ポラッツィさん(47)は統合失調症に苦しみ、修理工の仕事も失った。「仲間と一緒に演劇に情熱を傾けているおかげで、人生が上向いたと思う」と話す。公演11日に浜松市のクリエート浜松、13日にイタリア文化会館(東京都千代田区)で開かれる。
南日本新聞 2018/10/24
精神障害、
地域で支える
精神障害者を地域で受け入れる仕組みを紹介するイヴォンヌ・ドネガーニさん(右)=鹿児島市
精神障害がある人たちの暮らしについて考える講演会が、鹿児島市であった。イタリア・ボローニャの前精神保健局長で、精神科医のイヴォンヌ・ドネガーニさんが、精神科病院を全廃したイタリアで進む、患者が地域で暮らすための取り組むなどを話した。要旨を紹介する。