「演劇プロジェクト」に参加して (2021年)
増川ねてる
2021年9月30日
…僕は、「入れて」が言えない子どもでした。
家の前の道路で、近所の子ども達が遊んでいる時、僕はその姿をガラス越しに見ていました。どう言って、仲間に入ったらいいのかがわからなかったのです。
少しして、小学校に行くようになってからも、やはり「入れて」が言えませんでした。お昼休みに友だちがソフトボールをしに校庭にいくとき、「入れて」が言えませんでした。下手だったから。「僕も入れて」が言えませんでした。
そんな僕が、「入れて」を言ってみたのが、この「アルテサルーテ劇団」でした。訪れたボローニャで、見学した「アルテサルーテ」。「君には、演技の才能があるよ!」って言って貰って、元々「俳優」には興味があって、「演技してみたい」って思っていた僕は、とても嬉しかったです。そして…、次の年、再訪した「アルテサルーテ」。ソテリア、野口さんから「ねてるくん、やってみたいんじゃないの?本当は。もし、入団したいのなら…やってみたいのなら、言ったらいいよ。協力するから」 と背中を押され… 僕は、
「入れて」
を、言いました。
(歳は、40歳を過ぎていましたが、40を過ぎた僕が言いました)
・・・
そして、次の年、「アルテサルーテ劇団」の一人として、「マーラーサド」の日本公演の舞台に立ちました。歌は下手だから、口パクも多かったです。でも、セリフのある役を貰いました。とてもとても、嬉しかったし…幸せでした。
「演劇プロジェクト」に参加して思うのは、
「入れて」をいう事の大事さと、応援してくれる人のありがたさ。(野口さん、応援をして下さった皆さんに改めて感謝です)
僕は、今もまだ、こころが弱ると「入れて」が言えなくなるのは変わりませんが、言ったら叶うことも知ってます。スターのようには出来なくても、自分の役が持てること。下手でも「参加」ができること。そして…僕は、「参加」がしたかったんです。参加してみたら、仲間が出来ました。友だちができました。マエストロっていう師も出来ました。観て下さった方から、嬉しい感想も頂きました。
「参加」して・・・、 僕は、幸せでした。