今ある困難を隠すためでなく
公演のパンフレットにこんなことを書くのはへんかもしれませんが、コロナ禍で、私自身も公演の中止を繰り返し経験し、以前にも増して、公演だけが大事ではないと思うようになりました。
詳細を知っているわけではありませんが、今日のこの日のためにたくさんの話し合いが行われ、気持ちや考えを言葉にしてやり取りし、意見がぶつかって行き詰まったり、黙り込んだり、分裂したり、またくっついたり、あきらめて挫けたりがあったと思います。そのすべてが忘れられることなく残って欲しい。
舞台芸術(パフォミングアーツ)は、今ある困難を隠すためではなく、困難に光をあてるためにあって欲しいと願っています。
くるみざわしん
(劇作家、精神科医)