舞台に立つ みんなへ
以前わたしは、戻る約束のない休養に入ったことがあります。そのまま引退かとも言われました。でもあの時わたしには、混乱する気持ちのなかに、はっきりと変わらない目標が見えていました。「歌を歌いたい」という強いもの。
ご存知の方もいると思いますが、わたしは、精神科病院で治療を受ける日々も過ごしてきました。何度もなんども挫折しそうになりましたが、その体験を活かし、いまこうしてみんなの前で、大好きな歌を歌えるようになりました。
いまわたしは、心も身体も元気で、ちょっとのことでは負けないくらいに強くなりました。いろいろなことを学び、たくさんのことに気づき、本当の意味での人の優しさに触れることができたから。
この舞台に立つみんなも、いま自分がきちんと見えているから、「弱かった時」「強くなれた自分」そして「これからのこと」を演じられるのでしょう。
コロナ禍の混沌とした世の中で、前のわたしのように、傷ついた心を抱えている人は多くいます。歌や演劇は、そのなかにまっすぐ吹き込み、癒していくものと信じています。
そうみんな、新しい風のように、もっともっと自由に、わたしたちも進んでいこうね! 今日みんなに出会えたことへの感謝と、いまを越えようとしている人たちへのエールに心を込めて、このメッセージを届けます。
華原 朋美